はじめまして、こんにちは。
ヘアログライター1号の木原です。
早速ですが、あなたは「ヘアスタイルの画像が販売」されているという事実はご存知でしょうか?
・・・
はい。実は、ヘアスタイル画像って売られてるんです。
買ったヘアスタイル画像を載せてる店があるんです。
美容師さんにとってはヘアスタイルの撮影はお金も時間もかかりますし地域によってはサロンモデルの確保も難しい。
こういった面もあり「ヘアスタイル画像」を販売する会社やサイトが増えてきました。
「需要があるから供給する」、こうしてビジネスとして成り立っているのでしょう。
しかしながら数年前にこの事実を知り、美容室のホームページであたかも自分の店でやったように掲載されているのを見て、一人の客としての私は「ダマされたような」複雑な気持ちに。
これは「美容室業界では当たり前」なのか?
私以外の一般のお客さんはこの事実をどのように思うのか?
何もアクションを起こせぬままだった私ですが、最近刷新したヘアログのオウンドメディア「HAIRLOG SPECIAL(ヘアログスペシャル)」で、実験的な記事を投下しようと思い立ったわけであります。
そこで今回、美容室業界で活躍する美容師のみなさんと、一般客(以下、ユーザー)のみなさんに、本音のところを徹底調査。
プロと素人、それぞれの立場からいただいた様々な角度の意見をまとめてみました。
この記事を読んでどう思われるかはあなた次第です。
ヘアスタイル画像の販売会社、販売サイトについて
「ヘアスタイル 画像 販売」の検索結果
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あなたは、どう感じましたか?
他のユーザーの意見は後ほど掲載いたしますが、
その前に少しヘアスタイル画像販売会社のご説明をいたします。
ヘアスタイルを自社で撮影できない事情を持った美容室は意外と多く、
「ヘアスタイル画像が必要なのに撮影できない」
といった悩みを解決するのが【ヘアスタイル画像販売会社】です。
画像販売会社は多くの画像を持っていますが、どのようにして画像を入手しているのでしょうか?
- 美容室や美容師、カメラマンから買い取る
- スタイリスト、カメラマン、モデルを用意して撮影会を行い、短時間で複数枚、複数パターンの撮影を行う
このようにして販売会社は、美容師やカメラマン、モデルの協力のもと画像を入手し販売しています。
ちなみに、これらヘアスタイル販売会社が取り扱う画像はほとんどがロイヤリティフリーです。
美容室業界では過去にはヘアスタイル画像の無断盗用が横行しておりました。
現在も無断盗用や著作権問題は無くなりませんが、
ヘアスタイル画像販売の普及が、無断盗用や著作権問題解決の一助となるのかもしれません。
ユーザーへのアンケート調査(全25人)
- 知っていた:1人
- 知らなかった:24人
- あり(良いと思う):6人
- なし(良くないと思う):14人
- その他:5人
– 「あり」のユーザーの意見
あくまで、参考画像なので、いいかなと。
カットやパーマの参考になる
参考になる
事前に色々と考えられるから良い。
ネットの画像は参考になる
技術に個人差があるため、店舗のなか全員ができるとは限らないため。あくまでイメージ。
– 「なし」のユーザーの意見
あまりよく思わない。その店で作ったデザインを載せて欲しい。その画像を見て美容室を選ぶ人もいると思うので..
画像を頼りに頼んで失敗したことがあります。その画像自体が買った画像だったのか、と思うと納得。
実際に行って、その技術がなく、がっかりすることになるから。
基本的には良くないと思います。モデルになった方がOKならいいけど…よくわかりません。
どこへ行っても同じモデルのヘアスタイルが飾ってあったりするとがっかりするから
信頼なくなる
それは詐欺行為と同じだから。
信用の低下
サロンを選ぶ重要な部分なので、サロンの画像でないとしたら意味ないと思う。
お客さんを騙しているような気がします
詐欺だと思う。
モデルさんのヘアスタイルや雰囲気を見て、そのサロンを選ぶ基準にすると思います。そのサロンで撮影したものじゃないとなると、実際に行った場合に印象が違う、と評価が下がることもあるのではないかと思いました。
嘘だと思うから
騙された気がするので。
– 「その他」のユーザーの意見
んー。正直どうも思わない。その画像を見て、このヘアスタイルにしたいとか思った事がなく、ネットでこんな髪型にしようかなぁ?とか見るので。だから画像販売してても良いと思う。でも、中には騙された感を感じる人もいるのかもしれませんが、、、
どうも思いません。売りたい人、買いたい人、勝手にすれば。って感じ
ヘアカタログ画像をあまり参考にしていないので何とも言えない。
私の行っている美容院では◯◯が担当しました。と書いてあるのでその人がカットしているのだと思う。
良くはないけど今のご時世あまり関係もない気がする
決まった美容室に行くのでHPは見ないし、髪型もその時に決めるので参考にしないから
美容師へのアンケート調査(全20人)
- 自社で行なっている:16人
- 行なっていない:4人
- ある:4人
- ない:16人
- あり(良いと思う):10人
- なし(良くないと思う):9人
- その他:1人
– 「あり」の美容師の意見
アリです。モデルの調達が大変。
アリだとは思うけど、個人的には買いたいと思わない。他人が作ったスタイルを自分が作ったと言いたくないしそれで集客できても嬉しくない。
アリです、そのスタイルが面白い物であればあるほど良いと思います
販売に関してはありだと思います。撮影してないサロンが、高額で買えばいいと思います。
需要のあるところはあると思います。撮影コストがかかるので
あくまでサロンの回覧数アップの為や認知度アップの為なので、自店でのスタイル写真と+αでならアリな気がします。
ありだと思います。大手サロンはチェーンで作品を横展開しており、撮影コストの削減を行っております。
また有名サロンを見ても「またあの子かのような事例は多いので、もはやスタイル写真に価値なしという印象です。
ガンガン販売するプラットフォームを作って頂いて、作品撮影が必要のない世界にして頂きたいです
ヘアスタイルの画像販売は、著作権フリーならありだと思います。
(自分以外のスタイリストさんが作ったスタイルでもかわいいものはかわいいと思うから。)
全国どこのサロンでも撮影していれば良いのですが、どこのサロンでも撮影しているわけではないと思いますので、撮影をやっていないサロンさんや、した事がないサロンさんには良いシステムだと思います。
ちゃんとした撮影ができるまで、時間もお金も別でかかってしまうと思いますので。
売る側も買う側にもメリットがあるかと思います。
– 「なし」の美容師の意見
ヘアスタイル画像は販売ナシだと思います。理由は、スタイリスト個々のカットやアレンジ、仕上げ、メイク、テイスト、ターゲットが違うのでモデル探しも各自で行なっております。スタイリストによって写真の撮り方も変えております。
ラウレアではタレントや女優のヘアメイクやテレビ雑誌の撮影依頼が多い為、写真を撮ることが勉強になるのでカメラマンに依頼することもいたしません。モデルには自社ホームページに掲載許可と謝礼をお支払いしております。
自分の店舗で使うものだから自分たちで用意するべき。
美容室以外の職種の方がイメージとして使うのであればアリだと思うが、
他の美容室の画像をイメージとして使うのは美容師として恥ずかしいと思う。
ナシ。
ヘアスタイル画像の利用用途としては、ほぼ広告に使用するわけで、HPやSNS、フライヤー等の紙媒体であろうと、サロン名がある時点で
そのサロンまたはスタイリストの「作品」として認知される。
もしもアリの選択があったとすれば購入した画像と同等の
①テイスト②似合わせ③技術力
があると判断できるかと。その上での購入または使用なら、自店でも考える余地はある。
お客様にとってプラスではないのでナシです。
自分の出来るスタイルを写真として撮影や公開しているのに、
購入したものを公開するようではブランディングにもならないのではないかと思う
あくまで、掲載する写真は自分の技術を映すものだと考えているので、そのようなことはあってはいけないと思う。
ずっと前からあるので、あまり気にしたことはありませんでした。
自分の店舗のヘアスタイルとして掲載するのは無しだと思います。
2~3ヵ月に一度定期的に「著作権フリーのヘアスタイル画像を使いませんか?」とか、
「ヘアスタイル画像を一緒に作りませんか?」といった案内をメールやFAXなどで頂きます。
無しだと思います。合法だろうと自分の作品じゃないのに掲載はできない。
ホームページ、サイトなどの使用は、ナシ。
– 「その他」の美容師の意見
個人的な意見では、アリともナシともどちらともいいきれないと思います。
お互いの需要と供給のバランスと著作権がはっきりとしていればよいかと。
ただひとついえることは、広告やH.P.サロンの看板などに、自社で創られたものではない画像を使用された場合、
それに伴う技術やヘアスタイルが実際に提供できるかどうかが、画像転売する、しない以前の美容師として大きな問題ではないかと思います。
結果、それを見てご来店されたお客様がどう感じるかが大事だと思います。
結果が伴わないことに、どちらも責任を感じない画像転売はナシだとも思います。
アンケート結果をグラフにして考察
それでは、アンケート結果を整理してみましょう。
「美容室のホームページに載っているヘアスタイルですが、専門業者から画像を買ってきて載せている店があります。知っていましたか?」
- 知っていた:1人
- 知らなかった:24人
思った通り、ほぼ全員が「ヘアスタイル画像販売」の事実を知らなかったようですね。
今回は、美容室業界に精通していない一般ユーザーの方にアンケートを行いましたので、顕著に表れたのかと思います。
「ヘアスタイル撮影を自社で行なっていますか?」
- 自社で行なっている:16人
- 行なっていない:4人
美容師への質問
「ヘアスタイル画像を購入したことはありますか?」
- ある:4人
- ない:16人
こちらは、はっきりしてますね。
自社で撮影している美容師さんは購入しない、
自社で撮影しない美容師さんはヘアスタイルを購入する、
だいたいこういうことが言えそうです。
最後にユーザーと美容師の意見を比べてみます。
「ヘアスタイルの画像販売をどう思いますか?」
- あり(良いと思う):6人
- なし(良くないと思う):14人
- その他:5人
美容師への質問
「ヘアスタイルの画像販売はありと思いますか?なしと思いますか?」
- あり(良いと思う):10人
- なし(良くないと思う):9人
- その他:1人
ユーザーは「なし」が多いのに比べ、美容師は「あり」「なし」が拮抗、という結果になりました。
ユーザーの意見で一番多かった「なし」では、
「詐欺だ」
「騙されている」
といった意見が多く、
「ヘアスタイルはその店の作品」
「ヘアスタイルは美容室を選ぶ上での重要ポイント」
という認識のようです。
「あり」の意見を見てみますと、
「ヘアスタイルはあくまで参考画像」
という認識のようです。
誰が作ったかどうかは気にしていない人も一定数いるということですね。
「その他」の意見では、
「どうでも良い」
「今のご時世仕方ない」
といった冷めた意見が多いですが、
認識としては「ヘアスタイルはその店の作品」であるように思います。
美容師の意見で多かった「あり」では、
”賛成派”と”容認派”に別れました。
”賛成派”は「需要と共有がマッチしていて良いシステムと思う」、
”容認派”は「現実的に撮影できない事情を持った美容室は多く仕方がない」、
という意見です。
「なし」の意見では、
「買った画像を自分の作品のように掲載することはできない」
という意見がほとんどでした。
こちらはみなさん全員、自社で撮影していますので、
自分が撮ったヘアスタイルに誇りを持っている人が多かったように感じます。
「その他」の意見では、
「需要と共有のバランス、著作権が明確」
「お客様がどう感じるか?お客様にそのスタイルを提供できるか?」
ということで、うまくまとめていただいたように思いますね。
美容室業界全体としては需要があり現実的に考えて画像販売は必要。
買った画像をどのように使用するかはその美容室次第、ということですね。
ちなみに、今回アンケートした美容師のみなさんは全員、
ヘアスタイル画像販売の事実をご存知でした。
「美容室業界では周知の事実」ということは間違いないようですね。
まとめ
上記の考察をまとめてみますと、
- 『ユーザーは、ヘアスタイルが販売されているという事実を知らない。』
- 『美容室業界では「ヘアスタイル画像販売」は周知の事実。』
- 『ユーザーの多くは、ヘアスタイルをその美容室の作品という認識で見ている。』
- 『買った画像をどのように使用するかはその美容室次第。』
このように「ユーザーが知らない美容室業界の常識」として存在していることが分かりました。
そして、購入したヘアスタイルを単に自分の店で掲載することは、
たとえその意図はなくても
「あたかも自分の店の作品として掲載している」
と、誤解して見られてしまうことが容易に推測できます。
画像を購入している美容室には、
「誤解が生じないように掲載しているか?」
「そのヘアスタイルを提供できるか?」
を改めて見直して欲しいです。
いかがでしたでしょうか。
あなたはこの事実、ご存知でしたか?
あなたが通っている美容室はどちらのタイプですか?
この記事が、あなたの失敗しない美容室選びの参考になれば幸いです。
※2016年12月5日追記
以下の記事も書きました。